近年、遺品整理の際に多くのご遺族が悩まされているのがスマホやパソコンなどの「デジタル遺品」です。現在は、これらの機器やインターネット上のサービスを利用する際に複雑なパスワードを設定しなければならなくなっています。指紋認証や顔認証が導入されている端末も増えていて、人が亡くなった際にサービスの利用契約解除が難しくなるなどの問題も発生している今日この頃。この記事では、遺品整理の際のスマホの扱い方について解説しています。デジタル遺品でお困りの方は、ぜひ読んでみてください。
遺品整理ではスマホ本体のロック解除だけではなく、利用サービスの整理も重要
デジタル遺品の整理で問題になるのは、スマホ本体のロック解除だけではありません。故人は、スマホやパソコンを使ってインターネット上のさまざまなサービスを利用していたはずです。
故人がネットバンクやネット証券、仮想通貨の取引を行っていた場合は、速やかにログインIDやパスワードを特定してサービスを停止しなければなりません。特に仮想通貨の場合は値動きが激しいので、ある時点ではプラスだったものが、遺品整理に手間取っている打ちに大きなマイナスになってしまったということも理論上はあり得ます。スマホ決済を利用していた方なら、自動引き落としなどのサービスを利用している可能性もあるので、やはり速やかに利用を停止しなければなりません。
InstagramやTwitterなどのSNSを利用していた方なら、そのアカウントのログインIDやパスワードを特定して、サービスを解約したいところです。
このように、デジタル遺品の整理は、スマホ本体のロックを解除したあとが大変なので、どうしても解読が困難な場合は、専門の業者に依頼して解決するのが一般的です。
遺品整理でスマホのロックを解除するには
遺品整理の際、どうしてもスマホのロックを解除しなければできないことに直面することがあります。しかし、スマホのロックを解除する絶対的な方法はありません。ここでご紹介するのは、あくまでコツやアイデアといった程度のものです。いずれにしても、何度も挑戦して失敗を繰り返すと、ロック解除が不可能になる場合もあるので覚えておきましょう。
パスワード認証の場合のコツ
数字やアルファベットの組み合わせで作るパスワード。ご遺族なら、思い当たる組み合わせがあるかと思いますが、現在のセキュリティが強化されたデジタルワールドでは、ご遺族が思い当たるような組み合わせのパスワードではないことのほうが圧倒的に多いと考えられます。
パスワードを特定する際は、まず、遺品の中にパスワードに関するメモなどがないか探してみましょう。本人であっても記憶できないようなパスワードを作ることが要求される今、パスワードをまとめてどこかに保管している方は少なくないと考えられます。
遺品の中にメモが見つからない場合は、ご遺族の生年月日を入力してみたり、「9999」や「0123」などの意外にシンプルな文字を打ち込んでみたりすると、ロック解除につながることがあります。
パターン認証の場合のコツ
パターン認証は、ポイントを一筆書きのように指でなぞる認証方法です。このパターン認証の場合はヒントを探すことが難しいのですが、同じ場所に繰り返し触れるためにその痕跡がスクリーンに残っていることがあります。その痕跡をたどることでロック解除できるかもしれませんが、できないようであれば繰り返さずに業者に頼るのが無難です。
スマホのロックが解除できたら
スマホのロックが解除できたら、先ほども触れたとおり、ネットバンクやSNSなど、インターネット上のサービスの利用状況を確認します。
金銭や相続に関わるサービスを特定
サービスによっては、特に解約する必要のないものもあるので、金銭や相続に関わるサービスに重点を置いて調べるとよいでしょう。お金が関わるサービスは、そのままにしておくと負債がふくらんだり、継続して課金されたりしてしまうので、速やかに特定しなければなりません。
SNSは追悼アカウントを利用できる場合もある
SNSのアカウントは、そのままにしておいても特に問題にならない場合があります。しかし、故人がSNS上で課金サービスを利用している可能性もあるので、その場合は速やかに利用の停止を申請する必要があるでしょう。
SNSによりルールが異なるため、利用停止の申請もそのルールに従って行わなければなりません。
ちなみに、Facebookと、Facebook関連会社であるInstagramには、追悼アカウントの機能が用意されています。
遺品整理ではスマホの解約と初期化も忘れずに
スマホのロック解除、そしてネットバンクやSNSなどのサービスを停止することは、かんたんなことではありません。どうしても解決できない場合は、デジタル遺品専門の業者に相談しましょう。
デジタル遺品の整理ができたら、最後にスマホの解約と初期化を忘れずに行ってください。解約手続きはキャリアの窓口で可能です。
まとめ
スマホやパソコンといったデジタル遺品の整理は、個人情報が関係するためとても難解です。ご遺族だけでは解決できないことも十分に考えられるので、端末が完全にロックされてしまう前に、専門の業者に相談しましょう。
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