こわれたテレビは、例外はあるものの、基本的には自治体のサービスを利用して処分することができません。なぜかというと、テレビは国によりリサイクルの対象製品に指定されているからです。そのため、こわれているいないにかかわらず、テレビを処分する場合は、日本全国どこにいても、定められた方法で処分しなければなりません。
テレビはリサイクル対象の家電製品
テレビは「特定家庭用機器再商品化法」、一般的に「家電リサイクル法」として知られる法律で、冷蔵庫やエアコン、洗濯機などとともにリサイクルの対象製品に指定されています。
これらテレビなどの対象製品にはリサイクルできる素材やパーツが使われており、なかには入手が難しいものも含まれています。法律が制定される前は対象製品がリサイクルされることなく処分され、貴重な資源が無駄になってしまっていたというわけです。
現在は法律に基づくリサイクル対象製品の処分ルートが確立されており、ユーザーはこのルートを利用してメーカーまでテレビを戻すことができるようになっています。
対象製品
「テレビ」と名のつく製品でもリサイクルの対象に含まれていない製品があります。現在、リサイクルの対象になっているのは、以下のテレビです。
液晶・プラズマ式テレビ
液晶・プラズマ式テレビとこれらの派生製品であるHDDやDVDなどの記憶装置が内蔵されているテレビ、チューナー分離型テレビはリサイクルの対象製品です。
しかし、車載用や充電式の液晶テレビ、壁埋め込み型のテレビ、チューナーのない液晶モニターはリサイクルの対象ではありません。
近年、急速に普及している有機ELテレビは今のところリサイクルの対象ではありませんが、今後はリサイクルの対象に含まれることになるようです。
なお、電源コードやリモコンなどの付属品もリサイクルの対象に含まれます。
ブラウン管式テレビ
かつてお茶の間で主役だったブラウン管式テレビとこれらの派生製品であるVTR内蔵テレビ、ラジカセ一体型テレビはリサイクルの対象です。同じブラウン管式であってもプロジェクションテレビやチューナーのないモニターは対象ではありません。
電源コードやリモコンなどの付属品もリサイクルの対象に含まれます。
テレビがリサイクルされるまで
法律は、テレビを含むリサイクル対象製品の製造や流通、使用に関わるすべての業者や個人に役割を与えています。テレビをリサイクルするのは、言うまでもなく「製造業者」です。こわれたテレビを戻す先は、この製造業者です。
テレビをユーザーから回収する役割を果たしているのは、家電店を代表とする民間業者です。原則的にはテレビを販売した業者がこの役割を担うことになっています。
家電店はユーザーから回収したテレビを指定引取場所と呼ばれる地域の物流拠点に運びます。その先は全国にネットワークをもつ運送業者の手でテレビはメーカーまで運ばれます。
ユーザーの役割
法律は、こわれたテレビを処分するユーザーに対し、そのテレビの運搬にかかる費用とリサイクルにかかる費用の負担を求めています。「収集運搬料金」と「リサイクル料金」と呼ばれるものです。収集運搬料金は収集を担当する業者が独自に決めているため業者によりばらつきがあります。リサイクル料金は製品で決まっていて家電製品協会のホームページで調べることが可能です。
家電製品協会のホームページでは、メーカーや品目、型名、ロゴなどからリサイクル料金を特定することができます。
こわれたテレビの処分方法
こわれたテレビは、おもに以下の方法で処分します。原則的には当該製品を購入した業者に回収を依頼することになりますが、そのほかの選択肢もあります。
家電店にテレビの処分を依頼
すでに触れたとおり、こわれたテレビは原則的にその製品を販売した業者が回収することになっています。多くの場合、家電店です。ただし状況により回収の依頼先が違うので注意が必要です。
買い替える必要がある場合
こわれたテレビを買い替える必要がある場合は、そのテレビを購入した店ではなく、新しいテレビを購入する店に回収を依頼します。通常、店でテレビを購入すると店員が回収するテレビがあるかどうか確認してくれます。新しいテレビの配達とこわれたテレビの回収を同時にできることがこの方法のメリットです。
買い替えない場合
こわれたテレビを買い替えずにただ処分する場合は、そのテレビを購入した店が回収依頼先です。ただし、遠くにあるなど物理的に依頼することが難しい場合は、これからご紹介する方法で処分してください。
不用品回収業者に処分を依頼
不用品回収業者もテレビを回収しています。
本来、購入した店に依頼するべきとはいえ、引っ越しにより購入店が遠方になってしまったり、すでに閉業していたりすることもあります。アプリ経由など個人売買で手に入れたテレビも、多くの場合、どこの店に依頼したらいいのかわからないはずです。
このようなときに不用品回収業者を利用しましょう。家電店に回収を依頼するときと同じく、収集運搬料金とリサイクル料金を負担すればテレビを回収してくれます。
不用品回収業者を利用するメリット
家電店はリサイクル対象製品しか回収できませんが、不用品回収業者は家庭の不用品ならほとんど回収することができます。こわれたテレビを処分する状況では、ほかにも処分したい不用品があることが多いはずです。不用品回収業者を利用すると、粗大ごみやそのほかの不要になった物品を、テレビといっしょに処分することができます。
また、不用品回収業者はフレキシブルに対応可能です。たとえば、どうしてもすぐにテレビを処分しなければならない場合、家電店はさすがに対応できません。不用品回収業者は即日や夜間、休日の回収依頼にも対応可能です。
指定引取場所にテレビを持ち込んで処分
家電店にテレビの回収を依頼できない方は、指定引取場所にテレビを自己搬入して処分する方法もあります。
指定引取場所は、先ほど少し触れたように、地域における特定家庭用機器の回収拠点で、物流やロジスティクス系の企業がよくその役割を務めています。
指定引取場所を利用する場合は自己搬入なので、ユーザーが収集運搬料金を負担する必要はありません。その代わり、リサイクル料金を事前に支払ってから持ち込みます。
リサイクル料金の支払いと搬入
リサイクル料金の支払いは郵便局で行います。先ほどご紹介した家電製品協会のホームページで、支払いのときに必要な「リサイクル料金の金額」「製造業者等名コード」「品目・料金区分コード」を調べてから郵便局に行きましょう。
郵便局備え付けの「家電リサイクル券」に必要事項を記入してリサイクル料金を支払ってください。その後、家電リサイクル券を貼り付けたテレビを、最寄りの指定引取場所に搬入します。
指定引取場所は、以下から調べることが可能です。
まとめ
こわれたテレビを処分する方法をご紹介しました。リサイクル対象の家電製品であるテレビは、法に基づき正しく処分する必要があります。原則的には処分するテレビを購入した店に回収を依頼しますが、状況に応じて不用品回収業者や指定引取場所を利用するという選択肢もあります。
不用品回収業者はテレビ以外の不用品も回収できるので、実家の整理などまとまった量の不用品を処分する必要がある場合に利用を考えてみてください。