ゴミ屋敷はさまざまな原因で形成されます。住人が忙しさから片付けを怠けたことで形成されていくゴミ屋敷もありますが、実は病気が原因で形成されるゴミ屋敷もあります。もしも友人や家族など、近しい人がゴミをためこみはじめたらあなたはどうしますか?この記事では、ゴミ屋敷の原因になるといわれている病気について説明しています。ゴミ屋敷という無視することのできない社会問題に関心をお持ちの方は、ぜひ読んでみてください。
ゴミ屋敷と病気
家やマンションにゴミをためこんでしまう住人の心理など到底わからない…
多くの人がそう考えているのではないでしょうか?人が片付けられなくなってしまう原因はさまざまであり、原因などわからないこともあります。しかし、片付けられなくなってしまう、ゴミをためこんでしまう原因となる「病気」があることがわかってきています。
ゴミ屋敷の形成には、性格的なことだけではなく、心の病が関わっている可能性があります。もしもあなたの近くにゴミをためこんでしまっている人がいるのなら、病気を疑ってください。彼らをそのまま放置しても症状は進行するばかりです。あなたの大切な人を守るために行動を起こしましょう。
ゴミ屋敷の原因になり得る病気
ゴミ屋敷の原因になり得る病気はたくさんあり、そのほとんどは脳や心に関わる病です。ゴミ屋敷はゴミがためこまれるだけではなく、ゴキブリやネズミなどの害虫・害獣を集めるためとても危険な場所なのですが、ゴミをためこんだ本人はそこにとどまることを不快に感じません。ゴミの山の中にいてこそ落ち着きや安心を感じるという…なかなか理解しがたいことではありますが、とにかくゴミ屋敷を放置していては近隣の人々に多大な迷惑がかかりますし、ゴミをためこんだ本人の健康状態も不安です。もしも、以下に挙げる病気の症状があなたの友人や家族に見られるようなら、早急に行動してください。
うつ病
うつ病は、誰もがかかる可能性のある病気です。自殺で亡くなる人の多くがこの病を患っていたこともわかっています。
うつ病の原因は、ひと言で言えば「心労」です。ストレスや心配ごと、孤独など、重く、強い心労が人をうつにします。心が弱れば体も弱りますから、うつ病になることでほかの病気にかかってしまう人もいます。
うつ病は放置すると長引きがちな病気ですが、早期に発見と治療を行えば、長くても半年ほどで回復するので、早めにサインに気づいてあげることが重要です。
・うつ病のサイン
表情がない |
仕事でミスが増える |
欠勤、遅刻、早退が増える |
アルコールの摂取量が増える |
仲間と行動しなくなる |
このようなサインが見られたら、うつ病の可能性があります。
うつ病の人は心も体も疲労しているので、ゆっくり休養できるように配慮してあげることが大切です。
ゴミ屋敷もある意味、うつ病のサインと言えるかもしれません。とにかく、うつ病は心の病ですから、安直に励ましたり、気晴らしに連れていったりすることは、逆効果になることがあるので絶対にやってはいけません。
うつ病は、治療をすれば治る病気ですから、もしもあなたの近くにいる人がうつ病になってしまっても、やさしく見守ってあげてください。
統合失調症
統合失調症もゴミ屋敷を形成する原因になり得る病気です。統合失調症になると、幻覚や妄想により異常な行動をとるようになります。日本では、実は比較的多い病気で100人にひとりがかかるといわれています。ただ、統合失調症の原因については、現在のところわかっていません。
統合失調症の症状の出方には特徴があります。「陽性症状」と「陰性症状」と呼ばれるものです。
陽性症状は、健康に暮らしていたときにはなかった状態が表れることをいいます。陰性症状はその逆で、健康に暮らしていたときにはあったのに、病気によりその状態が失われてしまったことを表します。
先ほど触れた幻覚や妄想は、典型的な陽性症状です。感情がまったくなくなってしまったり、無気力状態になってしまったりする状態は陰性症状だといえます。
・統合失調症のサイン
幻覚や妄想など。周囲には見えないし、聞こえないのに本人は信じている。 |
「監視されている」と言いだす |
独り言 |
「いじめられた」と言うがその事実はない |
不気味に笑っている |
「誰かに命令された」と言う |
何のことをしゃべっているのかわからない。支離滅裂。 |
感情が感じられない |
引きこもる |
外見を気にしなくなる |
このほかにも統合失調症のサインはたくさんあります。統合失調症も早期に発見して治療を始めることが重要な病気です。治療には時間がかかりがちですが、近年、薬や治療法が発展したこともあり、回復が見込めるようになってきています。
認知症
認知症もゴミ屋敷の原因になる病気のひとつです。認知症は高齢になると発生しやすい脳の病気ですが、60歳にも満たない年齢で発症する場合もあります。認知症にはいくつかの種類があり、最も多いのが「アルツハイマー型認知症」です。アルツハイマー型認知症は、脳神経の変成により脳の一部に萎縮が進むことで起こる認知症です。
つづいて多いのが「血管性認知症」と呼ばれるもので、脳梗塞などの脳内の血管障害が元で起こる認知症です。
そのほかに手足に震えが発生したり、転びやすくなったりする「レビー小体型認知症」、言葉が出てこなかったり感情が抑えられなくなったりする「前頭側頭型認知症」などがあります。
高齢化が急速に進む日本社会では、認知症はめずらしい病気ではありません。65歳以上の人口の2割程度が、今後は認知症になるのではないかと考えられています。
・認知症のサイン
同じことを繰り返し話す |
少し前のことを忘れる |
曜日や日付がわからない |
近所なのに迷う |
失禁の増加 |
食べ物をうまく食べられなくなる |
怒りっぽくなる |
極度に怖がる |
認知症のサインは、これら以外にもたくさんあります。
認知症を判断するうえで重要なのが、もの忘れが「認知症によるもの」なのか、それとも「歳をとったことによるもの」なのかです。
人間、誰でも歳をとれば忘れっぽくなります。ただし、そのもの忘れが日常生活に差し障るもの忘れだと認知症の可能性が高くなります。
もの忘れをしても、本人に自覚があるうちはそれほど大きな問題ではありません。もの忘れをしても気づけなくなってしまったら認知症だといえるでしょう。
このような認知症のサインを考えると、ゴミ屋敷の原因になってしまうことは容易に想像がつきます。アルツハイマー型認知症を完全に治療する方法はまだありません。今の治療法は症状の進行を遅らせる治療法です。しかし、近い将来、治療薬が登場することが期待されています。
認知症もまた、早期に発見することが重要な病気ですが、早期発見よりも重要なのが予防です。認知症は生活習慣病との関連が指摘されていることもあり、これらの治療やうつ病などの心の病を防ぐことで、認知症の発症を予防することが求められています。
ADHD(注意欠如・多動症)
ADHDは、「注意欠如」「多動」とあるとおり、集中力や落ち着きのなさなどが特徴的な発達障害のひとつです。不注意だったり、衝動的に行動してしまったりすることで生活に悪い影響が出てしまいます。脳の発達過程に何らかの問題があり、ADHDの発症につながるのだと考えられているようですが、原因はいまだにわかっていません。ADHDは子どもたちの病気だと考えられがちですが、大人になってからADHDに気づく人も少なからずいます。20年ほど前に話題になった「片付けられない女たち」は、まさにそんな大人たちをテーマにしています。
その昔の「変わった子ども」が成長してADHDという病気に気づく…「片付けられない…」でもわかるとおり、ADHDがゴミ屋敷の原因になる可能性は十分にあります。しかし、ADHDだからといって社会に適合できないわけではなく、ADHDを公表している著名人が数多くいることも忘れてはいけません。
・ADHDのサイン
集中できない |
話しかけても聞こえていないように見える |
ものをよくなくす |
常にそわそわしているように見える |
順番を待てない |
人の邪魔をする |
このほかにも数多くのサインがあります。
大人のADHDも、医師と相談しながら薬により脳内で分泌されるアドレナリンなどのホルモン量を増やすことで、前頭葉の機能を回復し、症状を和らげることが可能です。
強迫性障害
強迫性障害も、ゴミ屋敷の形成につながる可能性がある心の病気のひとつです。よく「強迫観念」という言葉を聞きます。強迫観念とは、「そんな意志はないのに頭に浮かんでくる考え」のことです。「強迫行為」は「しなくてはいられない行為」です。つまり、考えずにはいられなかったり、せずにはいられなかったりという思いから「同じことを繰り返し行う病気」が強迫性障害だといえるでしょう。
・強迫性障害のサイン
汚れや菌などを極端に恐れ、手洗いや入浴などを繰り返す |
戸締まりや家電のスイッチを繰り返し確認する |
物事を儀式的に、自分の手順でやらないと悪いことが起こると考えている |
数字に異常にこだわる |
何もしていないのに加害者になったのではないかと心配する |
物の置き場所や配置に異常に固執する |
強迫性障害は、まさに強迫観念と強迫行為による病気なので、ほかにも似たようなサインはたくさんあります。ご紹介したようなサインも、ひどくなるとそれだけで日常生活に大きな影響を与えてしまいます。周囲にいる人たちにまで自分のやり方を強要するようになったらたいへんです。すでに「神経質」では説明できない状態に達しています。サインを感じたら、ためらわずに医師に相談してください。
セルフネグレクト
セルフネグレクトは、自身が生きていくために必要な行為を何もしない状態のことです。セルフネグレクトが病気なのかどうかの判断は難しいところですが、このセルフネグレクトの背後には、心の病気や生活習慣病があることは多いようです。
セルフネグレクトの状態になると、身なりを気にしなくなったり、ゴミをためこんだりするようになります。まさにゴミ屋敷の住人は、すでにセルフネグレクトの状態なのです。
セルフネグレクトの状態に陥ってしまう人は、大まかに2つのタイプい分けられます。
ひとつは心の病などで生活する意欲自体を失ってしまったタイプ。もうひとつは意図を持って自分を放任しているタイプです。
セルフネグレクトに陥った人たちは、誰かに助けを求めるようなことをしません。判断力がなくなっていることもありますが、汚れた身なりで、ゴミのたまった部屋で暮らしている自分をほかの人に見せたくないという気持ちを持っているためです。
・セルフネグレクトのサイン
同じ服をずっと着つづけている |
風呂に入らない |
洗濯をしない |
ゴミをためこむ |
食生活を気にしない |
病気とは判断しづらいとはいえ、上記のようなサインが見えたら、完全にセルフネグレクトの状態に陥っているといえるでしょう。
セルフネグレクトの状態に陥ってしまうのは、認知能力に問題がある高齢者だけではありません。若年層にも増えています。セルフネグレクトの状態を放置すると、特に若年層は自殺につながる可能性が高いため、もしも友人や家族がセルフネグレクトの状態に陥ってしまったら、適切なケアを受けさせる必要があるでしょう。
ためこみ症
病名からしてゴミ屋敷と関連がありそうなためこみ症。まさしくそのとおりで、ほとんどの人にとっては「ゴミ」と言っていい物をせっせとためこんでしまう病気のことです。
ためこまれやすい物は多岐にわたります。しかし、新聞や雑誌、書類や郵便物などがためこまれることが多いようです。ためこみ症の人は、このような物を捨てることに、苦しくなるほど強い抵抗感を覚えます。他人にとってはただのゴミなのに、なぜか愛着やめぐりあいを感じて捨てようとしないのです。
ためこみ症の人は、コレクターとは違い、きれいにまとめて物を保管するようなことがありません。ためこんだ物をまったく整理せずに放置するため、誰にでもためこみ症の症状は明確にわかります。
ためこみ症の人の中には、次にご紹介する「買い物依存症」の傾向が見られる人もいます。近年、犬猫などの多頭飼育が崩壊するケースが報じられることがありますが、これも「動物ためこみ」といってためこみ症の一種だと考えられています。
ためこみ症になる人は高齢者に多く、女性よりも男性がかかりやすいようです。
買い物依存症
買い物は楽しいものですが、依存や執着の度合いが強くなると、それはすでに病気です。「アルコール依存症」は、依存性があるアルコールという物質への依存です。物質に、自分をコントロールできないほどに頼ってしまう人はたくさんいます。
買い物依存症は物質ではなく、買い物というプロセスへの依存です。ギャンブルへの依存と同じ傾向のある依存です。その証拠に買い物依存症の人は、購入した物には特に興味がありません。そのため、購入した物が部屋にためこまれるようになり、やがてゴミ屋敷が形成されます。買い物すること自体が彼らにとっての快感であり、欲求を抑えられないため、破産に至る人も少なくありません。
買い物依存症になる原因も多岐にわたりますが、やはりストレスのたまりやすい現代社会の構造が病気の根底にあります。ストレスを解消するために買い物に熱中し、物をためこんでしまうのです。決済手段が現金ではなくカード中心になっていることも、買い物依存症を生む遠因です。
買い物依存症になる人は圧倒的に女性が多く、しかもまじめな人ほどなりやすいようです。近くにいる人に頼ったり、本当の思いをさらけ出したりすることができずにストレスをためこみ、買い物というプロセスに頼ってしまうのです。
家がゴミ屋敷になってしまう社会事情
ゴミ屋敷の原因として病気があることをお話ししてきました。ここからは、ゴミ屋敷が形成される社会事情についてお話しします。
近年、インターネットやスマートフォンが発展して、とても便利な社会になりました。コンビニやスーパーも身近にあり、今の日本では誰でもかんたんに物を手に入れることができます。
逆に物を捨てるという点ではどうでしょうか?実は現代社会では物を捨てることが難しくなっています。地域のゴミ収集では面倒な分別を強いられ、品目ごとに「これは燃やせるゴミ」「あれはプラ」などと確認しながら捨てなければなりません。
ゴミ屋敷の住人の多くが高齢者であることはご存じかと思います。物を手に入れやすく捨てにくい世の中で、「物を大切に」と教えられてきた高齢者は、捨てることが面倒なので「もったいないからとっておこう」「いつか使うだろう」という考えになりがちです。
しかし、現実に「使う」日は訪れません。子どもたちが捨てようとすると激しく抵抗する高齢者もいます。高齢者の家を回ってゴミの収集を行っている自治体もありますが、ゴミ屋敷を撲滅できるような社会になる日はまだまだ先のことでしょう。
ゴミ屋敷の相談は広島えびすサポートへ
物を手に入れやすく捨てにくい世の中になった今、不用品回収業者はゴミ屋敷撲滅のために力になれる存在です。ゴミ屋敷の整理にお悩みの方は、広島えびすサポートにご相談ください。また一緒にゴミ屋敷片付けの相場なども記事もご覧下さいませ。
下記では費用、料金についても解説しておりますのでご覧下さいませ
ごみ屋敷の片付けを依頼するのに必要な費用について不用品回収業者が解説