洗濯機は「粗大ごみ」ではありません。皆様がお住まいの地域では自治体が粗大ごみを収集しているはずですが、その収集サービスで洗濯機を処分することは基本的には不可能です。これは洗濯機が法律で定められたリサイクル対象製品だからです。こわれた洗濯機は、法律に基づいた方法でメーカーまで戻す必要があります。
洗濯機はリサイクル対象の特定家庭用機器
洗濯機は、テレビや冷蔵庫、エアコンとともに「特定家庭用機器」に指定されています。その根拠となっているのが「特定家庭用機器再商品化法」という法律です。皆様も「家電リサイクル法」という呼び名で耳にしたことがあるかもしれません。
この法律は、資源の無駄をなくし、資源の再利用を促進することを目的につくられました。洗濯機をはじめとする特定家庭用機器には再利用可能な資源が数多く使われており、なかには入手がとても難しい資源も含まれています。持続可能な社会づくりが課題になっていますが、すでに施行から20年以上が経過するこの法律には先見性があったといえるのかもしれませんね。
対象製品
法律でリサイクルの対象になっているのは、一般的な全自動洗濯機のほか、二槽式洗濯機、洗濯乾燥機、衣類乾燥機などです。排水機能が付いた小型洗濯機もリサイクルの対象です。洗濯機の付属品も同時に処分できます。
洗濯機がリサイクルされるまでの流れ
こわれた洗濯機は、このように法律でリサイクルすることが定められているため、メーカーまで戻すためのルートが決まっています。ユーザーは、そのルートを利用すれば確実に洗濯機をメーカーに戻すことが可能です。
以下は、洗濯機がリサイクルされるまでの流れです。
1. 洗濯機の回収
原則では洗濯機を販売した業者がユーザーから洗濯機を回収することになっています。
2. 回収拠点へ
洗濯機を販売した業者は、地域にある特定家庭用機器の回収拠点に洗濯機を搬入します。
3. メーカーへ
回収拠点に運ばれた洗濯機は、物流業者によって各メーカーまで戻されます。
4. 解体とリサイクル
メーカーまで戻された洗濯機は解体されます。不要な部位は廃棄処分され、リサイクル可能な資源は新たな製品の製造などに使用されます。
ユーザーは金銭負担でリサイクルに貢献
製品の製造や流通、使用する企業や個人には、法律により製品をリサイクルするための役割が与えられています。
まず、製品を製造しているメーカーに与えられているのは製品をリサイクルする役割です。これはメーカーでないとできないことなので、当たり前といえば当たり前ですね。
製品の流通に関わっている企業や個人には、処分される製品を引き取ったり、保管したり、運搬したりする役割が与えられています。先ほどの流れでも説明したとおり、販売店や物流業者がこれにあたります。
製品を使用していたユーザーには、リサイクルや製品運搬のプロセスを、金銭負担によりサポートする役割が与えられています。ユーザーは特定家庭用機器を処分する際、「リサイクル料金」と「収集運搬料金」という名目の料金を負担しなければなりません。
なお、リサイクル料金は製品ごとに定められており、家電製品協会のホームページで調べられます。
・家電製品協会 https://www.rkc.aeha.or.jp/
収集運搬料金はそれぞれの業者が決めているので、業者により異なります。
こわれた洗濯機を家電店に依頼して処分
こわれた洗濯機は、すでにご紹介しているように、原則的に販売店、すなわち「家電店」がユーザーから回収することになっています。しかし、場合によっては依頼先が変わることがあるので注意しましょう。
買い替えるなら
洗濯機がこわれたままでは洗濯物がたまる一方です。そのため大多数の人は洗濯機を買い替えることになるはずです。
こわれた洗濯機を買い替える場合は、その洗濯機を購入した家電店ではなく、新しい洗濯機を購入する家電店が依頼先です。ユーザーは購入時に回収を依頼できますし、業者は製品の配達時にこわれた洗濯機をピックアップできるので無駄がありません。
家電店のショッピングサイトやAmazonなどのネットモールで購入する場合でも、こわれた洗濯機の回収を依頼できます。依頼方法がよくわからない場合は店舗に確認してから購入したほうがいいでしょう。
買い替えないなら
こわれた洗濯機を買い替えず、シンプルに処分する場合は原則どおりその製品を購入した家電店に回収を依頼してください。
こわれた洗濯機を不用品回収業者に依頼して処分
こわれた洗濯機を不用品回収業者に依頼して処分する方法もあります。
誰もが家電店を利用してこわれた洗濯機を処分できるわけではありません。洗濯機を買ってから引っ越す人もいますし、アプリを利用して個人売買で洗濯機を買う人もいるはずです。このようなケースでは購入した家電店が遠すぎたり、わからなかったりするので家電店を利用するわけにはいきません。
そこで頼りになるのが不用品回収業者です。
家電店と同じように利用できる
不用品回収業者は、家電店と同じように利用できます。インターネットで調べて、洗濯機の処分を希望している旨を伝えれば回収に来てくれます。費用も家電店を利用する場合とそれほど変わりません。
洗濯機以外の不用品も処分できる
不用品回収業者は家庭の不用品ならだいたいなんでも回収できます。そのため、ユーザーは洗濯機以外の不用品も同時に処分することが可能です。家電店をはじめとするほかの選択肢は特定家庭用機器の回収に特化した存在なので、当たり前ではありますが家具などを回収することは不可能です。
すぐに処分できる
家電店はできるだけユーザーの予定に合わせて回収日時を決めてくれますが、必ずしもユーザーの希望どおりになるわけではありません。そのため、日時指定や速やかな処分を希望する場合は不用品回収業者を利用しましょう。不用品回収業者を利用すれば、その日のうちに洗濯機を処分することも可能です。
こわれた洗濯機を指定引取場所に搬入して処分
こわれた洗濯機を処分する方法はまだあります。指定引取場所の利用です。指定引取場所は先述の地域における特定家庭用機器の回収拠点で、全国各地に設定されています。この指定引取場所にこわれた洗濯機を持ち込むことで、洗濯機をリサイクルルートにのせることが可能です。
収集運搬料金は不要
指定引取場所にこわれた洗濯機を搬入して処分する場合は、収集運搬料金は不要です。ただし、搬入前にリサイクル料金の支払いを済ませておく必要があります。
リサイクル料金の支払いは郵便局で
リサイクル料金は郵便局で支払います。先ほどの家電製品協会のホームページで事前にリサイクル料金の金額や支払いに必要な情報(製造業者等名コード、品目・料金区分コード)を入手してから郵便局に行ってください。
郵便局備え付けの「家電リサイクル券」に必要事項を記入したあとで支払いを済ませます。家電リサイクル券は、処分する洗濯機に貼付します。
指定引取場所に搬入
最寄りの指定引取場所に洗濯機を搬入します。指定引取場所は以下のページで調べることが可能です。
・指定引取場所検索 https://www.e-map.ne.jp/p/rkcsymap/
まとめ
こわれた洗濯機を処分する方法をご紹介しました。洗濯機は法律でリサイクルすることが定められているので、自治体が粗大ごみとして回収することは基本的にありません。指定引取場所への運搬を代行している自治体がある程度です。リサイクルルートにのせるためには、家電店、不用品回収業者、指定引取場所のいずれかを利用します。
不用品回収業者は洗濯機以外の不用品を回収可能な唯一の業者です。空き家の整理などのあとで洗濯機以外にも捨てなければならない物がある場合はベストな選択肢です。