日本社会の高齢化とともにニーズが増えている遺品整理業者。しかし、遺品整理に関わる悪徳業者によるトラブルも少なからず発生しているようです。この記事では、遺品整理に関わるトラブルについて、トラブルに巻き込まれないためにやるべきことや、優良業者の選び方も含めて解説しています。遺品整理を業者に依頼しようと考えている方は、ぜひ読んでみてください。
遺品整理に関わるトラブル
遺品整理を職業にするにあたり、国が定めた資格などは必要ありません。業界では健全化を図るための努力を続けているのですが、それでも消費生活センターには、悪徳業者によるトラブルが報告されているようです。どんなトラブルが報告されているのか解説します。
盗難
遺品の中には現金や価値のある貴重品が含まれています。厄介なのは現金です。特にお年寄りはタンス預金やへそくりをすることが多いため、遺族も気づいていない現金が存在している可能性があります。悪徳業者はそんな現金や貴重品を狙っています。悪徳業者にこのような現金や貴重品を見つけられてしまっても遺族は気づけないので、悪徳業者にとってはしめたものです。
最近は、立ち会い不要で遺品を整理してくれる業者も多くあります。信頼できる業者であればそれでもよいのですが、盗難を防ぐことを考えるなら、できれば作業に立ち会えれば理想的です。
不当に高い請求
遺品整理の料金に関するトラブルも数多く報告されているようです。作業が終わってから、「追加料金」などと称して見積りとはまったく異なる金額を請求される被害が発生しています。遺品整理という仕事が一般的になったのは最近のことですから、利用者側も相場をあまり理解していません。悪徳業者はそんなところをも狙ってくるというわけです。
法外なキャンセル料を要求してきたり、異議を唱えると大声で恫喝したりする悪徳業者も存在します。
不当に安い買取価格
遺品の買い取りサービスは、ご遺族にとっても有用なサービスです。しかし、遺品を不当に安い価格で買い取ろうとする悪徳業者も存在します。遺品は、その価値をご遺族が理解していないことも多いため、そんな弱みを悪徳業者は巧みに突いてくるのです。できれば、遺品を売却する側も自衛策として、売却できそうな遺品の価値を調べておくことをおすすめします。
押し買い
近年、よく聞かれるようになった「押し買い」という言葉。所有者が売る気のない物を強引に買い取る手法です。訪問買取でよくあるこの押し買いですが、遺品整理の現場でも発生しています。特に高額な腕時計や貴金属を狙って、「今が売り時」「すぐに値が下がる」などと言ってご遺族の不安をあおるのがその手口です。
「売る気のない物は売らない」
これが大切です。
不法投棄
回収・処分されるはずの遺品が適切に扱われず、山の中などに不法に投棄されるトラブルも発生しています。そもそも、遺品の中には故人や依頼者を特定できる情報が含まれている可能性が高いので、不法投棄など身に覚えがまったくないのに、罪に問われてしまうかもしれません。悪徳業者は遺品を不法投棄したあとに身を隠してしまうことも多く、遺品整理を依頼した側が責任を負わなければならないこともあります。
頼んでいないのに勝手に処分
遺品には現金や貴重品だけではなく、相続に関わる重要な書類や形見にする品などが含まれています。遺品整理では、重要な品と不用な品、売却して整理する品などを分類しますが、頼んでもいないのに遺品を勝手に処分されてしまうトラブルも発生しているようです。
このようなトラブルは、悪徳業者ではなくても、打ち合わせ不足から発生する可能性があることを否定できません。そのため、遺品は必ず遺族の許可を得てから引き取るよう、決めておくとよいでしょう。
雑な作業
先ほども触れましたが、遺品整理では重要な品と不要・不用な品を分類します。もちろん、不要・不用な品は処分することになるのですが、これらも遺品であり、雑に扱うことなど許されることではありません。ほとんどの遺品整理業者は、遺品をていねいに扱っていますが、なかにはそうではない業者も存在します。遺族の感情を考えて作業できない業者など遺品整理業者ではありません。
遺品整理に関わるトラブルを防ぐために
遺品整理に関わるトラブルは、主に悪徳業者に作業を依頼することで発生しますが、確認不足がトラブルを招くこともあります。トラブルを防ぐために、利用者側ができることをご紹介します。
複数の遺品整理業者に見積りを依頼
遺品整理業者を選ぶ際は、ひとつの業者だけに見積りを依頼するのではなく、複数の業者に見積りを依頼するようにしましょう。見積書を出してもらったら、金額だけではなく、作業内容もしっかり確認します。自治体のごみ処理ルールに則った廃棄物の処分方法かどうかも必ず確認しておきましょう。現地での見積りを有料で行う業者もあるので、この点についても事前に確認しておきます。
見積書の内容をチェック
前項と少し重複しますが、見積書の内容を詳しくチェックして、比較しましょう。作業内容について、見積書だけでは詳しくわからないようなら、必ず業者に確認します。それぞれの作業にかかる金額を明確にしないと比較そのものができませんし、後のトラブルの元になります。内容を精査して、金額だけで業者を選ばないことが重要です。
料金についての事前確認
見積書の内容をチェックしたあと、その内容に納得できれば契約という流れになります。しかし、この段階でも注意が必要です。作業の日時が異なるだけでも追加料金を要求してくる業者もあるので、契約前に必ず確認します。キャンセル料についても、金額や発生時期について明確にしておきます。
捨てる物と残す物は明確に分ける
捨てる物と残す物は明確に分けておきましょう。はっきりと分けておくことで、誤って捨てられてしまうリスクを回避することが可能です。
トラブルになってしまったら消費生活センターに相談
細心の注意を払って遺品整理業者と契約してもトラブルになってしまった場合は消費生活センターに相談しましょう。契約をした状況によっては、クーリングオフにより契約を解除できる場合があります。
遺品整理の優良業者とは?
遺品整理でトラブルに巻き込まれてしまう原因は、ほとんどが悪徳業者に依頼してしまうことです。したがって、優良業者に依頼すればトラブルは高確率で回避できるということになります。優良業者には以下のような特徴があります。
必要な許可を得ている
遺品整理を行うには、最低限、古物商許可や廃棄物収集運搬許可が必要です。古物商許可がなければ遺品を買い取れません。
明確な料金体系
料金体系がわかりやすい業者は、多くの場合、優良業者です。悪徳業者は料金体系を複雑にすることで、不当に高い追加料金などの存在を隠そうとします。
遺品整理にかかる費用・料金に含まれるサービスや注意点について解説
遺品整理士がいる
遺品整理士は、遺品整理に関わるさまざまな作業について、作法も含めて豊富な知識を持つ存在です。遺品整理士の資格を持たなくても遺品整理業を行うことはできますが、多くの優良遺品整理業者に遺品整理士が常駐しています。
まとめ
悪徳業者がからむ遺品整理に関するトラブルについて、巻き込まれないためにできることや優良業者の見分け方も含めて解説しました。優れた遺品整理業者は、物を仕分けるだけではなく、ご遺族の力になるだけの知識や作法を備えています。