生活保護受給者のなかには病気やケガの影響で体を自由に動かせない方もいらっしゃいます。そのため、普段のごみ出しもままならず、ごみをため込んでしまうことがあります。
ごみや不用品のため込み方はさまざまで、まだ床が見える程度の場合もあれば、足の踏み場もなく、しかも天井に届くほどうずたかくごみをため込む人もいます。前者の場合は誰か身寄りさえあれば協力して片付けられるかもしれません。しかし、後者の場合は大問題です。このレベルだともはやごみ屋敷ですから、いくら人を集められたとしても一般の方の手に負えるレベルではありません。したがって業者に依頼することになりますが、生活保護でお金がないとなるとどうやって片付ければいいのかわかりません。
この記事では生活保護受給者がごみ屋敷を片付けるにはどうすればいいのか解説しています。このような人が身近にいて困っている方は、ぜひ参考にしてください。
生活保護受給者がごみ屋敷を片付ける方法
生活保護受給者は、生活保護で「住宅扶助」を受けています。要するに、生活保護受給者は住宅扶助で家賃を支払っているということです。しかし、現状、受給者が住んでいるごみのため込まれた部屋を片付ける条件は「この部屋を出て行くこと」です。つまり、住宅扶助は受けられなくなりますが、退去するための費用を「一時扶助」の形で受給することで片付け費用に充てられます。
生活保護受給者が一時扶助を受ける条件
生活保護受給者が一時扶助を受けて部屋を片付ける大前提はその部屋を退去することですが、そのほかにも条件はあります。
単身者で賃貸住宅から退去する
生活保護の一時扶助を受けるためには、受給者が単身者であるとともに退去する部屋が賃貸住宅でなければなりません。ただ、単身者でなくても例外的に受給が認められるケースもあるようです。
施設に入院または入居している
部屋を借りていて住宅扶助を受けているけれども、すでに病院や介護施設に入院、または入居して、その期間が6ヶ月経過しているか、6ヶ月を超える見込みがあることが、一時扶助を受ける条件です。
退去後に住宅扶助を受けない
一時扶助を受給できるのは、住宅扶助を受けていない人だけです。一時扶助を受給する場合、住宅扶助は受給できなくなります。
一時扶助の申請からごみ屋敷を片付けるまでの手順
お話ししたとおり、生活保護受給者がごみ屋敷状態にしてしまった部屋を片付ける費用を捻出するためには、一時扶助を申請する必要があります。その手順について紹介します。
手順1:ケースワーカーに相談
一時扶助を申請するにあたり、まずはケースワーカーに相談します。条件を満たしているようであれば、一時扶助申請のために「家財処分費給付申請書」を作成、広島市に提出します。
手順2:業者選び
ごみのため込まれた部屋を片付ける業者を選びます。不用品回収業者に依頼するのが一般的です。複数の業者に見積もりを依頼し、最終的にはケースワーカーが業者を選定します。ただ、実際の依頼者は部屋を借りていた本人です。
手順3:ごみ屋敷の片付け作業
不用品回収業者がごみ屋敷に行き、ケースワーカーの立ち会いの下で片付け作業を行います。
一時扶助を受けられない生活保護受給者がごみ屋敷を片付けるには?
生活保護の一時扶助を受けてごみ屋敷を片付けるには住宅扶助を受けないことが条件となるため、この方法で片付けられない方は少なくありません。この方法以外に片付け費用を捻出する方法はあるのでしょうか?
こちらの記事も参考に【広島】お金がない場合のごみ屋敷の片付け方と費用を抑える方法
広島市の大型ごみ収集運搬料金免除
広島市は、生活保護受給者を対象に、年度内に3個まで、大型ごみの収集運搬料金を免除しています。微々たるものかもしれませんが、お金をかけられないのであれば利用すべきでしょう。またこの免除を受けるためには、ご自身が、電話またはインターネットで申し込む必要があります。
生活保護受給者が亡くなってしまった場合は?
生活保護を受けながら暮らしていた人が、ごみのため込まれた部屋を片付ける前に亡くなってしまったとしましょう。この場合、部屋を退去するにあたり、ごみの撤去と処分や遺品整理を行う必要があります。
しかし、残念ながらこのようなケースでは生活保護からこれらの作業にかかる費用を捻出することはできません。生活保護を受給していた人が亡くなられた時点で、生活保護は打ち切られてしまうからです。
まとめ
生活保護受給者が、ごみをため込んでしまった部屋を片付ける方法をご紹介しました。生活保護受給者がごみ屋敷化した部屋を片付ける費用を捻出するには、いくつかのハードルがあります。そのため、片付け費用を捻出することが難しい方も多いと思われます。
それでも、ごみ屋敷化した部屋をそのままにしておくわけにはいきません。なかなか難しい問題ではありますが、ケースワーカーに相談してベストな解決策を探る必要があります。